2021年

2021年度は、①東京大学金融教育研究センター・不動産金融フォーラムとの合同ワークショップと②次世代不動産投資研究会の2つの研究会を実施します

2021-01.不動産金融フォーラム 2021:

持続可能社会と不動産投資のフロンティアを考える

東京大学金融教育研究センター,東京大学空間情報科学研究センター,麗澤大学都市不動産科学研究センター

趣旨:

不動産投資において,ESG(環境・社会・ガバナンス)への注目が,再度,高まってきている.21世紀に入ると地球温暖化問題への関心が高まり,持続可能性の高い社会の実現に向けて,様々な取り組みが進められた.そのような中で,国連は,「責任不動産投資原則」を提唱し,金融機能における融資・投資の両面を通じて,不動産市場においてもESGの順守を浸透させようとした.しかし,各国での対応は十分には浸透しなかった.21世紀も二つ目の10年にはいると,米国のバイデン政権の誕生をきっかけとして,日本もまた脱炭素社会に向けて舵が大きく切られることとなった.そのようななかで,不動産投資においてもESGへの配慮が要求されてきている.不動産金融フォーラムは,2019.2020年度を通じて,不動産投資の持続性を検討してきた.2021年度においても,不動産投資市場の持続可能性をテーマに,高齢化・人口減少とどのように向き合っていくべきか,自然災害への対応をどのように向き合っていくべきかといった課題と合わせて,未来の不動産投資市場をデザインしていく中で注目される新しい金融技術などについても広く学習することを目的とする。こうした問題意識の下,本プロジェクトでは,2020年度に続き,不動産投資に関わる内外の専門家を招聘し,不動産投資市場の持続可能性を主要なテーマとして,ラウンドテーブル形式で討議する.

スケジュール:

第01回(不動産金融フォーラム):(09/03) 11:00-13:00

 講師: 髙橋 孝明(東京大学空間情報科学研究センター教授)

「高齢化と都市の集積」

第02回(不動産金融フォーラム): (11/26) 11:00-13:00

 講師: 副島 豊(日本銀行 決済機構局審議役 FinTechセンター長)

 「新しい投資技術」

第03回(不動産金融フォーラム): (02/25) 11:00-13:00

 講師: 吉田二郎(ペンシルベニア州立大学)・清水千弘(東京大学空間情報科学研究センター・日本大学)

「超高齢社会における不動産市場と不動産投資」

体制

代表渡辺 努東京大学大学院経済学研究科経済学部教授/前経済学研究科長・経済学部長
代表西村 清彦CARF特任研究員/政策研究大学院大学特別教授/総務省顧問
オーガナイザー清水 千弘東京大学空間情報科学研究センター特任教授/日本大学スポーツ科学部教授/麗澤大学都市不動産科学研究センター長・特任教授
 吉田 二郎ペンシルベニア州立大学・スミール経営学カレッジ准教授/東京大学大学院経済学研究科客員准教授
メンバー副島 豊日本銀行 決済機構局審議役 FinTechセンター長
 井上 智夫成蹊大学経済学部教授
 鈴木 あおい国土交通省不動産・建設経済局不動産市場整備課課長
 水谷 登美男金融庁監督局銀行第二課兼総務課課長補佐
 廣島 成浩三井住友信託銀行不動産企画部長
 成本 治男TMI総合法律事務所・パートナー
 矢口 一成株式会社ゆうちょ銀行市場部門常務執行役員不動産投資部長
 飯野 厚子国民年金基金連合会 資産運用部 運用企画課長
 中嶋 康雄ラサール不動産投資顧問株式会社代表取締役
 榊原 昭嘉 岡崎信用金庫・理事
 安田 次郎大垣共立銀行執行役員・IT統括担当
 西岡 敏郎一般財団法人日本不動産研究所上席主幹
 内田 高弘ケネディクス株式会社執行役員

2021-02.次世代不動産投資研究会

都市不動産科学ワークショップ(ファイナンス) 2021:

地方創生と不動産投資のフロンティアを考える

東京大学空間情報科学研究センター,麗澤大学都市不動産科学研究センター

(非公開)

趣旨:

2001年の上場リート市場の誕生が不動産投資市場元年とすれば,わが国に不動産投資場が誕生して20年が過ぎようとしている。その上場リート市場は22兆円の規模までに拡大し,私募リートも含めれば,40兆円をも超える。さらに近年においては,年金基金や郵貯などの機関化された資金の不動産投資も本格化してきた。このような不動産投資市場の構築には,20世紀後半から多くの先人たちの強い想いと並々ならぬエネルギーが投下され,そこに多くの参加者を加えながら,一つの産業として成長してきた。そして,20世紀の黎明期に描いた不動産投資市場の理想的な姿へと,ゆっくりではあったが進化し,近づいてきたと言ってもいいであろう。それでは,不動産投資市場は,これからも成長余力はあるのか,今後,どのような方向へと向かうべきなのであろうか。また,黎明期において予見できなかった新しい未来は,また描くことができるのであろうか。

不動産投資市場が果たした最も大きな貢献は,不動産市場の民主化であろう。20世紀までの不動産投資市場は,ごく限られた一部の大きな資本を持つ企業だけしか投資ができないような市場であった。しかし,証券化という技術が登場し,不動産投資のリスクを細分化することを可能とすることで,そして,上場市場を誕生させることで,家計をも含む多くの参加者を不動産投資市場の中に取り入れることを可能としてきた。個人投資家を不動産投資市場に参入させるために,市場の透明化を進めるとともに,投資から発生するリスクを管理していく技術も大きく進化していった。そのような中で,不動産市場そのものの効率化も大きく進化していったものと考える。さらに,家計に対しては,従来は,資産形成において預金・株式投資・国債などの債券投資しかなかったところに,不動産投資のリスクを組み入れやすくすることで,リスク分散効果が働きやすくなったという点も評価されるべき点である。

しかし,残された課題も少なくない。上場リート市場の投資家層は,広い裾野への拡大が期待されたが,実際には,一部の投資家層に限定されてしまっている。具体的には,多くのシェアの投資家は,年齢の高い,投資経験が豊富な富裕層といった性格が強い。不動産投資の分散効果という性質を考えれば,本来であれば,若年層からの積み立てなどにふさわしい。しかし,現在の商品性では,株式と投資としての性格が強く,一口当たりの金額も大きいことから,そのような投資資金の受け皿にはなりにくい。リートを組み込んだ投資信託などの金融商品もあるが,レバレッジが強くかかっているために,一層エクイティとしての性格が強くなり,本来の不動産の投資の魅力を低下させてしまっている。また,現在のミレニアム世代には,単純な投資収益や分散効果だけでは,大きな投資のドライバーになるとも考えづらい。

本研究会では,不動産投資市場の新しい市場を創生するために,二つの大きな軸を設定する。第一が,持続可能性の高い社会を実現するための未来への投資であったり,社会課題を解決しようとしたりする取り組みへの投資といった従来とは異なる基軸による投資リターンの定義化である。第二が,多くの参加者を巻き込むことができるような,投資規模の小口化である。

後者については,新しいテクノロジーを活用することで実現可能性が高まった。具体的には,STO(Security Token Offering)の活用である。STOとは,ブロックチェーン上で発行されたトークンを用いた資金調達方法のことを指し,スマートコントラクトの技術を組み込むことで,証券の小口化と配当の支払いの自動化を通じてコストを大きく引き下げることを可能とした。そのため,不動産の所有権の分割コストの低下を通じて,多くのすそ野を巻き込むことができるような投資可能なサイズへと小口化をすることができる。

 本研究フォーラムでは,上記の二つの視点に基づき,産官学が一体となって,新しい不動産投資市場のデザインをすることを目的とする。

スケジュール:

第01回(次世代不動産投資研究部会):(09/14) 17:00-18:30

 講師: 室 剛朗(株式会社価値総合研究所研究員)

地方創生と不動産投資

第02回(次世代不動産投資研究部会):(10/12) 17:00-18:30

 講師: 鈴木 あおい (国土交通省不動産・建設経済局不動産市場整備課課長)

地方創生と不動産金融

第03回(次世代不動産投資研究部会):(11/16) 17:00-18:30

 講師: 内田 高弘 (ケネディクス株式会社執行役員)

 不動坂投資のフロンティア

第04回(次世代不動産投資研究部会):(12/07) 17:00-18:30

 講師: 中嶋 敏貴(株式会社Lifull不動産ファンド推進事業部 部長)

地方創生の実践

第05回(次世代不動産投資研究部会):(01/11) 17:00-18:30

 講師: 西岡 敏郎 (一般財団法人日本不動産研究所上席主幹)

 森林ファンドと地方創生

第06回(次世代不動産投資研究部会):(02/15) 17:00-18:30

 講師: 成本 治男(TMI総合法律事務所・パートナー)

地方創生・不動産投資の残された課題

体制

オーガナイザー清水 千弘東京大学空間情報科学研究センター特任教授/日本大学スポーツ科学部教授/麗澤大学都市不動産科学研究センター長・特任教授
メンバー鈴木 あおい国土交通省不動産・建設経済局不動産市場整備課課長
 中平 英典農林水産省大臣官房政策課上席企画官
 水谷 登美男金融庁監督局銀行第二課兼総務課課長補佐
 橋本 幸広三井住友信託銀行不動産企画部 デジタル戦略推進室長
 成本 治男TMI総合法律事務所・パートナー
 矢口 一成株式会社ゆうちょ銀行市場部門常務執行役員不動産投資部長
 榊原 昭嘉 岡崎信用金庫・理事
 安田次郎大垣共立銀行執行役員・IT統括担当
 西岡 敏郎一般財団法人日本不動産研究所 上席主幹
 内田 高弘ケネディクス株式会社 執行役員
 平出 和也スターツアセットマネジメント株式会社 代表取締役
 中嶋 敏貴株式会社Lifull不動産ファンド推進事業部 部長
 室 剛朗 株式会社価値総合研究所
 菅田 修三井住友トラスト基礎研究所
 福田 和則エンジョイワークス株式会社 代表取締役

2020年

代表

西村清彦・渡辺努

オーガナイザー

清水千弘・吉田二郎

共催

東京大学空間情報科学研究センター(CSIS)
麗澤大学 都市・不動産科学研究センター(2020年度~)

研究会の趣旨(2020年度)

ポスト・コロナ時代という言葉が、様々なところで利用されるようになってきた。不動産投資市場においても同様であり、これから新しい機軸や投資基準が生まれてくることが予想される。2019年度の不動産金融フォーラムにおいては、日本の金融機関において不動産に関するリスクが大きく上昇してきているのではないかという仮説の下で、三回の研究会を開催した。具体的には、住宅ローン,アパートローンの貸出量が増加するだけでなく,不動産投資信託に対する貸し付けやエクイティ投資など,様々な経路を通じて,不動産市場へと資金流入が増加することから生じる金融システムの不安定性を分析することを行った。加えて,公的年金などの不動産投資におけるリスク管理の問題にも焦点を当てた。2020年度は、ポスト・コロナ時代の不動産投資市場がどのように変容していくのか、そのような中で、不動産投資または不動産金融システムは、どのように機能させていったら良いのかといいのか、といった疑問に答えるために、不動産市場分析を行うエコノミスト・アナリスト、不動産投資・不動産金融に関わる実務家、不動産金融行政に係る専門家と研究者が集まり、ラウンドテーブル形式で討議する。

氏名所属・役職 
渡辺 努東京大学経済学部教授・学部長
西村 清彦政策研究大学院大学特別教授・総務省顧問
清水千弘東京大学空間情報科学研究センター特任教授/日本大学スポーツ科学部教授
吉田 二郎ペンシルベニア州立大学・スミール経営学カレッジ准教授/東京大学大学院経済学研究科 客員准教授
植杉 威一郎一橋大学経済研究所教授
上村 昌司麗澤大学経済学部教授・学部長
宮川 大介一橋大学大学院経営管理研究科准教授
森 政貴レディング大学・Henley Business School准教授
平野智裕ロンドン大学・Royal Holloway准教授
三尾 仁志日本銀行金融機構局金融システム調査課課長
長田 允弘日本銀行金融機構局金融システム調査課企画役
井﨑信也 国土交通省不動産・建設経済局不動産業課課長
皆川武士国土交通省不動産・建設経済局不動産市場整備課課長
水谷 登美男金融庁監督局銀行第二課兼総務課課長補佐
田中 茂樹三井住友信託銀行専務執行役員
中山善夫ザイマックス不動産総合研究所代表取締役社長
飯野 厚子国民年金基金連合会資産運用部運用企画課長
長谷川 智成農林中央金庫オルタナティブ投資部不動産ファイナンス・ソリューション室長
Olivier MegeReal Quality Rating代表取締役
川野 真治東京海上アセットマネジメント運用部長
矢口 一成株式会社ゆうちょ銀行市場部門常務執行役員不動産投資部長
西岡 敏郎一般財団法人日本不動産研究所上席主幹
坂本 雅昭三井住友トラスト基礎研究所投資調査第2部 部長 研究主幹
小夫 孝一郎ドイチェ・アセット・マネジメントオルタナティブ運用部 ディレクター
中嶋 康雄ラサール不動産投資顧問代表取締役

【第004回】不動産金融フォーラム

日時 2021年2月18日 (木) 17:00-18:30          
場所 オンライン
発表者 報告者1: 清水千弘
報告者2: 堀江隆一
論文名 不動産市場の持続可能性

【第003回】不動産金融フォーラム

日時 2020年12月10日 (木) 11:00-13:00          
場所 オンライン
発表者 吉田二郎
論文名 不動産金融研究の新展開

【第002回】不動産金融フォーラム

日時 2020年11月26日 (木) 17:00-19:00          
場所 オンライン
発表者 Olivier Mege・川井康平
論文名 不動産の本源的価値(Real Quality)と欧州の不動産投資市場

【第001回】 不動産金融フォーラム

日時 2020年10月15日 (木) 17:00-19:00          
場所 オンライン
発表者 中嶋 康雄・西村章
論文名 ポストコロナ時代の不動産投資