ようこそ、一橋大学経済測定研究室のホームページへ。
本研究室は、物価・資産価格・生産性を中心として、「経済測定」の研究者が集い、研究活動を実施しています。

研究室の代表者である清水千弘は、一貫して、不動産市場のダイナミクスを解明するための経済統計の作成に関する研究を実施してきました。国際学術誌に掲載または掲載予定の査読付き論文(査読付き報告含む)は併せて50本以上であり、研究室のメンバーとともに、国際的な学術分野で活動を継続して行ってきました。また国内の学会誌等に掲載された論文・論説は200本を超え、国際会議、国際学会、国内学会での報告は100回以上であり、そのうち国連、IMF、OECD、BIS、中央銀行、政府からの招待講演は20回以上、国際会議・国際会議のInvited Sessionまたは大学主催による国際ワークショップでの招待講演も25回を超えます。

 海外の研究者と積極的に共同研究を実施し、国際的に研究活動を実施してきました。現在、基盤研究(A)の代表者を務めるとともに、基盤研究(S)および(A)の分担者としても、大規模な共同研究を推進してきた実績を持ちます。


多くの研究は、海外においての研究活動の成果として、発表したものです。2005年、2006年には南カリフォルニア大学Lusk Center for real Estateに滞在し、Yongheng Deng氏の指導の下、米国のケース & シラーインデックスに空間特性を配慮した住宅価格指数に関する研究を進めました。のちに、Yongheng Deng氏はシンガポール国立大学(NUS)不動産学部長として赴任し、現在は、ウィスコンシン大学マディソン校の経営学部長を務めます。同紙に誘いで、2015年から2017年にかけて、NUSで教壇に立つ機会を頂くとともに、同氏との共同研究を進めてきました。


2011年から2015年にかけては、プリティッシュ・コロンビア大学の客員教授として在籍し、Erwin Diewert氏との共同研究を進め、10本以上の共同論文を出版しました。プリティッシュ・コロンビア大学滞在中に、欧州統計委員会に設置された不動産価格統計国際指針の作成に専門家として、マサチューセッツ工科大学 David Geltner氏、アムステルダム大学のMarc Franke氏とともに招聘されました。また、Geltner教授の招聘で、2017年から2022年まで、MIT Center for Real Estateに参加し、不動産価格統計の研究と開示を進めてきました。

研究室の設置目的

30年間に及ぶ物価・資産価格の測定の集大成として、一橋大学に設立されたソーシャルデータサイエンス研究科に、経済測定研究室を設置しました。

一橋大学は、日本の統計学・公的統計の研究の中心として、多くの研究者たちが日本の統計研究をリードしてきました。20世紀初頭、藤本幸太郎教授により日本に近代的統計学をもたらし、日本における統計学研究を先導すると共に、公的統計構築においても、統計局長として第二次大戦後の日本の消費者物価指数の作成に携わった森田優三教授や、国際連合本部統計局局長として購買力平価の推計に尽力した倉橋義正教授等、統計構築において一橋大学が果たしてきた役割は非常に大きいものがあります。

また、清水が研究者として出発した麗澤大学では、宮川公男一橋大学名誉教授が大学院研究科長を務め、統計教育に尽力されていました。統計学教室に准教授として採用され、宮川先生から指導をいただくとともに、研究者として長年にわたり育てていただきました。

学生時代には、中村貢 東京大学名誉教授、日本大学名誉教授に計量経済学の指導を受けます。中村貢先生は、日本で最初に計量経済学を教えた先生になるそうです。その後、西村清彦先生、浅見泰司先生のご指導により、東京大学の学位論文を取りまとめることができました。中村先生は、常々、統計のメーカーとしての視点の重要性をお話しされていました。

今までの多くの先生方から受け継いできたものを、次世代に譲るために、経済測定に関して世界をリードする研究活動を行うだけでなく、研究者育成を主たる目的として一橋大学に研究室を設置しました。研究室では、国際的な共同研究体制を整え、国際競争力を持った研究を推進するだけでなく、ゼミによる個別指導と国際ワークショップなどを通じて、次世代の経済測定研究を担う研究者、専門家を育成していきます。

一橋大学大学院ソーシャル・データサイエンス研究科・教授
                     清水千弘