経済学01(Economics01)
科目ナンバー   RMGT/SSCS1137 
科目名   経済学1  
担当教員   清水 千弘    
対象学年   1年,2年,3年,4年   開講学期   後期  
曜日・時限   月1  
講義室   1205   単位区分   選  
授業形態   講義   単位数  
科目大分類 総合教育  
科目中分類 総合  
科目小分類 文化教養  
科目の位置付け(開発能力) ■DPコード-学修のゴールを示すディプロマポリシーとの関連
【危機管理学部】【スポーツ科学部】共通
DP1-D  〔市民的素養・市民的教養〕市民的素養と参加コミュニティに積極的な変化をもたらすために,知識・スキル・価値観・動機を動員することができる。
DP4-I  〔理解力・分析力〕文章表現,数値データを適切に扱いつつ,情報の収集と取捨選択,分析と加工を有効かつ円滑に行い,課題の解決につなげることができる。
DP7-C  〔他者理解・倫理観・公共心〕人間の行動の正誤に関する推論に正面から取り組み,社会的な存在としての自己の行動原理を獲得することができる。

■CRコード-学修を通じて開発するマインドセット・ナレッジ・スキルを示すコモンルーブリック(CR)との関連 
D1:市民的素養と参加(20%)
C1:倫理的思考・社会認識(20%)
I1:理解・分析と読解(20%)
I2:量的分析(20%)
I3:情報分析(20%)  
教員の実務経験  2009年から国連,国際通貨基金(IMF),国際決済銀行(BIS),OECDが共同で進める経済指標の整備に関するプロジェクトに参加しています。また,政府の審議会や委員会の委員を務めるとともに,財務省・金融庁・経済産業省・国土交通省の経済研修等の講師を務めています。それらの経験をもとに,経済学の講義を展開します。(第5.7.8回)  
成績ターゲット区分 ■成績ターゲット  能力開発の目標ステージとの対応
2  進行期  ~  3  発展期
 
科目概要・キーワード   市場経済を構成する消費者と生産者の需要・供給行動,市場における価格の資源配分機能を理解し,現実の経済問題に対し果たす役割を学習します。具体的には,価格理論を中心に,ミクロ経済学の基本を理解し,経済学のロジックに基づいて直感的な説明ができ,議論できることが目標となります。授業形態は講義により行い,レポートによって理解度を図ることとします。なお,授業の一部を補完するため,あるいは代替するためにディスタンスラーニングを取り入れる場合があります。
■キーワード: ミクロ経済学,効用最大値,利潤最大化  
授業の趣旨 ■副題
  家計・企業・政府の微視的経済学の考え方を習得し,社会における経済現象の理解と予測ができる社会人になりましょう。
■授業の目的
  様々な経済現象が起きる現代社会において,政府,家計,企業という経済主体の行動原理を理解することは,私たちが社会で生活していくうえで問題の理解や解決のための多くのヒントを与える要素となります。本講義では,微視的経済学の基礎的な理解を通じて,様々な経済現象の解決方法を学習します。
■授業のポイント
  現代社会で起こる経済現象はより複雑化しています。前半の講義では,市場メカニズムや価格の役割を明らかにする「価格理論」の紹介,合理的な経済主体の市場を通じた相互依存関係が最適化行動や競争によって経済問題を解決していく仕組みを理解することを目的とします。後半の講義では,市場ではうまく解決出来ない状況に関する,政策介入の正当性と,市場取引と並ぶ相対取引等に関する経済分析を理解することを目的とします。講義を通じて,文化的素養,市民的教養として経済社会の構造を理解するとともに,経済情報の理解・分析を通じて,市民参加への応用を図ります。
 
総合到達目標 ■社会における家計・企業・政府の経済活動の基準と経済現象の理解及び予測ができるようになるために,以下のことを学習し,修得する。
・家計における効用最大化条件,企業における利潤最大化条件などの理解を通じ,経済現象を分析できる。(第1~6回)
・市場の限界と実際の経済現象を分析する上での原理を理解できる。(第7~13回)
・競技スポーツ産業,危機管理分野に関連した社会現象を分析できる。(第14.15回)
 
成績評価方法 ■リアクションペーパー(30%):適用ルーブリック  D1・C1
(評価の観点)講義への参加意識の濃度をリアクションペーパーよって評価します。
(フィードバックの方法)次の講義にて,補足的な解説をします。
■学期期間中におけるレポート(70%):適用ルーブリック  I1・I2・I3
(評価の観点)各単元において最も重要な点について問い(計10回),理解度を評価します。
(フィードバックの方法)レポート配布の次の講義にて,ポイントを解説します。  
履修条件 特にありません  
履修上の注意点 特になし  
授業内容
内容
1 ①授業のテーマ
 ガイダンス(全体テーマ,授業の進め方,成績評価方法の告知),導入,単元の概要紹介
②授業概要
 授業の概要・目的・到達目標および授業の方法,評価規準について説明します。とりわけ,スポーツ科学部・危機管理学部の専門領域おける経済学の位置づけを担当教員の実務経験を交えながら解説します(D1・C1)。
③予習(120分)
 指定された教科書の全体像をつかむ。
④復習(120分)
 経済学を学習することの意義を整理する。
2 ①授業のテーマ
 経済学的思考
②授業概要
 機会費用,絶対優位または比較優位,インフレーションや失業対策といった経済政策の目標など,多くの基礎的な概念と原理を解説します(I1)。
③予習(120分)
 経済学とはどのような学問かを整理する。
④復習(120分)
 経済学の10大原理について整理する。
3 ①授業のテーマ
 市場における需要と供給
②授業概要
 経済学の最も基礎的な概念となる市場の機能を,需要と供給の基礎的概念とともに学ぶ(I1)。特に競争市場,寡占,独占の問題を解説します(I1・I2)。
③予習(120分)
 競争市場の必要条件について整理する。
④復習(120分)
 寡占市場・独占市場において生ずる問題を考え,整理する。
4 ①授業のテーマ
 弾力性とその応用
②授業概要
 物やサービスの価格が変動する場合,その需要はどのように変化するのか,また所得が変化した場合,その需要はどのように変化するのかについて事例を挙げて解説します(I1・I2)。なお,講義の後半では,レポート課題を出し,その作成に一部の時間を充てる。
③予習(120分)
 価格弾力性と所得弾力性について.それを計測する意義について調べる。
④復習(120分)
 レポート作成を通じて価格弾力性,所得弾力性の数値例を整理し,物やサービスの性質の違いを理解する。
5 ①授業のテーマ
 需要・供給と政府の政策
②授業概要
 市場機能は必ずしも完全ではないため,政府は,最低賃金や電力料金,診療報酬などについて様々な形で市場に介入している。担当者の実務経験を踏まえて,その具体的な内容とそこに生ずる問題について解説します(I1・I3)。なお,講義の後半では,レポート課題を出し,その作成に一部の時間を充てる。
③予習(120分)
 価格規制が課されている物やサービスを調べ,その意味を考える。
④復習(120分)
 レポート作成を通じて物やサービスの価格に対して上限と下限を規制することの是非を考え,整理する。
6 ①授業のテーマ
 消費者・生産者・市場の効率性
②授業概要
 資源の配分が経済福祉にどのように影響を与えるかを研究する分野として「厚生経済学」という分野があるが,ここではその基礎的概念を解説します(I1)。なお,講義の後半では,レポート課題を出し,その作成に一部の時間を充てる。
③予習(120分)
 「厚生(Welfare)」とはどのような概念であるかを調べる。
④復習(120分)
 レポート作成を通じて消費者余剰・生産者余剰とその意味について考え,整理する。
7 ①授業のテーマ
 外部性
②授業概要
 市場機能が十分に発揮されない場合として,物やサービスが外部性を持つ場合があり,この現象について解説します。担当者の実務経験を踏まえて,外部経済,外部不経済が存在する際に,どのような政策的な対応が可能かを解説します(I1)。なお,講義の後半では,レポート課題を出し,その作成に一部の時間を充てる。
③予習(120分)
 外部性とはどのような現象を意味するのかを調べる。
④復習(120分)
 レポート作成を通じて外部経済,外部不経済を持つ物やサービスをそれぞれ一つずつ挙げ,この現象の理解を確認する。
8 ①授業のテーマ
 公共財と共有資源
②授業概要
 市場機能が十分に発揮されない物やサービスについては,政府が「公共財」として供給する。担当者の実務経験を踏まえて,その性質と政府の役割について解説します(I1)。なお,講義の後半では,レポート課題を出し,その作成に一部の時間を充てる。
③予習(120分)
 政府が供給する「公共財」として何があるのかを調べる。
④復習(120分)
 レポート作成を通じて政府は「公共財」の提供を通じてどのような機能を果たすのか整理する。
9 ①授業のテーマ
 競争市場における企業
②授業概要
 市場の効率性は,企業が完全競争市場の中で物やサービスを生産することで維持されるが,完全競争とはどのような状態を意味するのかを解説します(I1・I2)。なお,講義の後半では,レポート課題を出し,その作成に一部の時間を充てる。
③予習(120分)
 経済学における「競争」の意味について調べる。
④復習(120分)
 レポート作成を通じて完全競争の条件を整理し,そのような状態の市場である,或いはそうでない物やサービスを考え,整理する。
10 ①授業のテーマ
 寡占的競争
②授業概要
 実際の市場では,競争的であっても寡占状態となっている市場は数多く存在する。このような市場はどのように形成され,その後,独占市場と変化していくのかについて解説します(I1・I2)。なお,講義の後半では,レポート課題を出し,その作成に一部の時間を充てる。
③予習(120分)
 寡占市場となっている物やサービスの市場の例を調べる。
④復習(120分)
 レポート作成を通じて独占企業・寡占企業における利潤最大化条件を整理する。
11 ①授業のテーマ
 生産要素市場
②授業概要
 物やサービスの生産には資本,労働,土地が必要であり,これらは生産要素という。この生産要素市場におけるそれぞれの調達と最適条件について解説します(I1・I2)。なお,講義の後半では,レポート課題を出し,その作成に一部の時間を充てる。
③予習(120分)
 特定の産業を事例として,物やサービスによってどのような違いがあるかを調べる。
④復習(120分)
 レポート作成を通じて生産要素のうち,労働市場に注目し,その均衡条件を整理する。
12 ①授業のテーマ
 勤労所得と差別・貧困
②授業概要
 労働市場における所得格差が生ずるメカニズムとその背景について,ミクロ経済学の応用として解説します(I1・I3)。なお,講義の後半では,レポート課題を出し,その作成に一部の時間を充てる。
③予習(120分)
 所得格差の実態を調べる。
④復習(120分)
 レポート作成を通じて格差を縮小するための政策としてとのような政策が好ましいか考え,整理する。
13 ①授業のテーマ
 勤労所得と差別・貧困
②授業概要
 経済的貧困が生まれる理由,経済格差が消失しない理由をミクロ経済学の応用として解説します(I1・I3)。なお,講義の後半では,レポート課題を出し,その作成に一部の時間を充てる。
③予習(120分)
 ジニ係数とはどのようなものかを調べる。
④復習(120分)
 レポート作成を通じて貧困を減らすための政策としてとのような政策が好ましいか考え,整理する。
14 ①授業のテーマ
 消費者選択の理論
②授業概要
 私たちの多くは,所得の制約を受けながら消費を選択しているが,そのような消費者の行動選択の原理を解説します(I1・I2)。
③予習(120分)
 日常において購入している物やサービスは,どのような行動の結果,選択しているかを調べる。
④復習(120分)
 ミクロ経済学の学びを通じて,どのような行動選択をすべきかと考え,整理する。
15 ①授業のテーマ
 経済学1のまとめ
②授業概要
 これまでの授業での学びを振り返り,微視的経済学の重要性,応用可能性を各個人で考える(D1・C1)。
③予習(120分)
 授業のノートの全体を振り返る。
④復習(120分)
 ミクロ経済学は,専門科目を学ぶ上でどのように活用できるかを整理する。
関連科目 RMGT/SSCS1138「経済学2」は巨視的視点での経済学の基礎知識として補完的な関係にあります。  
教科書 足立英之ほか訳『マンキュー経済学Ⅰ(ミクロ編)』東洋経済新報社  
参考書・参考URL 赤木博文『コンパクト  ミクロ経済学  第2版』新世社  
連絡先・オフィスアワー ■連絡先:開催時に告知します。
■オフィスアワー:月曜日2限。それ以外については,メール等でアポイントメントを取ることにより,研究室等で対応します。  
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